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第10回 GEの武器「神機」の秘密、教えます

ゴッドイーターたちの武器となる神機(画像はロングブレード)。


板倉 耕一
株式会社バンダイナムコスタジオ所属。
第一作「GOD EATER」の立ち上げからアートディレクターとしてシリーズに携わる。
キャラクターのほかアラガミなどの主要要素のデザインも担当。

伊藤 通章
株式会社バンダイナムコスタジオ所属。
第1作『GOD EATER』よりシリーズに携わる。
主にアラガミや神機のデザインを担当し、『GOD EATER RESURRECTION』ではアートディレクターを担当。

依田 優一
株式会社バンダイナムコスタジオ所属。
第一作「GOD EATER」から参加し、以降は主にアクションディレクターとしてシリーズに携わる。
「GOD EATER 2 RAGE BURST」「GOD EATER OFFSHOT」ではディレクターを担当。

渥美 航
株式会社バンダイナムコスタジオ所属。
第一作「GOD EATER」の立ち上げからシリーズに携わる。
最新作「GOD EATER 3」ではディレクターの他、シナリオも一部担当。

鈴木 一徹
株式会社マーベラス 第1スタジオ所属。
「GOD EATER 3」開発ディレクター。

伊藤 迅一
株式会社マーベラス
「GOD EATER 3」のフィールド、神機デザインを主に担当。コンセプトアーティスト。


――いよいよ「GOD EATER 徹底解剖10CONTENTS」ラストとなる今回のテーマは、アラガミに立ち向かうための唯一の武器「神機」です。まずは『GOD EATER』からお話を伺いたいと思いますが、神機のデザインは最初どのように決めていったのでしょうか?
板倉さん
神機が捕喰し、さらに変形して近接武器や遠距離武器になるという骨子が初期の段階からすでにあった……というのは、「第3回 GOD EATERの世界ができるまで」でもお伝えしていた通りで、神機そのものは生体兵器であり、それが変形して敵を喰べるという要素が前提としてありました。そのため、機械的な変形ではなく、有機的な変形をするように神機をデザインする必要がありました。デザイン作業の進め方については、まずプレイヤー用の神機パーツのデザインを決め、それをもとに仲間キャラクター用に神機パーツを組み合わせて専用のカラーリングを決めていきました。『GOD EATER』では主に伊藤さんが神機デザインを担当していたので、「GOD EATER」シリーズの神機の方向性は伊藤さんが生み出したようなものです。伊藤さんが上げてくださったデザインを、二人で試行錯誤して固めていきました。

伊藤(通)さん
当初はデザインの方向性に苦戦し、ファンタジー要素に寄り過ぎたりしていました。「GOD EATER」シリーズの神機の雛形を生み出す、デザインの大枠を固めていくという意味合いも強かったため、難易度は高かったです。

板倉さん
ちなみに神機のデザインについては、キャラクターに寄せて作ったわけではありません。まず最初にロングやバスター、銃身や装甲などの種別ごとに神機デザインを上げていただき、そのデザインがよければ、そのままその系統のデザインの雛形になります。あとはゲーム的な発注に合わせて、それらしいデザインを上げたり修正したりを繰り返して作っていきました。

伊藤(通)さん
「GOD EATER」シリーズではそれぞれ機械的、アラガミ系、クリスタルのような見た目の系統など多様なデザインの神機が登場してきましたが、これらの種類(構成)はシリーズを通してずっと守ってきたものです。同じ系統で固めるもよし、自分のお気に入りのデザインパーツを組み合わせるもよしで、プレイヤーの皆さんがそれぞれ個性のある神機をカスタマイズして、神機のコーディネートを楽しんでくれていたら嬉しいですね。

板倉さん
なぜアラガミ由来のものだけでなく機械的なものがあるのか、という点にも実は理由があります。伝説的な怪物と対峙するのは現代に生きる人類なのだという構図がわかりやすくなるように、人類が作り出したものだと感じられる機械的なデザインを用意しました。ですので「GOD EATER」シリーズでは常にクロガネ系統のような機械的なデザインの神機を必ず取り入れるようにしました。また、アラガミ系統の神機はそのアラガミのモチーフが取り入れられていますが、ある種そのアラガミを討伐したという勲章のようなものだと思っています。その強敵を倒して、そのパーツを得たという象徴として、そのアラガミらしい見た目の武器が手に入るという構造になっています。

伊藤(通)さん
科学が発展した世界での生体兵器でもあるので、さすがにアラガミそのままのデザインは避けるようにしていました。アラガミ系統の神機はクロガネ系統の機械的な神機デザインとは違って、アラガミの印象的なパーツの美しさや禍々しさをいかに強調させられるか、といったところを意識してデザインしています。

板倉さん
アラガミ系統の神機パーツを素敵なデザインにするのは、なかなか難易度が高いと感じます。人間が未知の巨大生物のパーツを入手して、持ちうる技術を駆使し何とか加工している雰囲気を出そうと制作当時は試行錯誤していました。難しい反面、アラガミらしいシルエットが出るので、見た目に特徴が表れるのがいいですね。ただし、いい塩梅に落とし込めたかどうかは、今でもなかなか悩ましく思うところがあります。

神機の構造の設定画。

神機の構造の検討段階の資料。検討段階だと装甲や捕喰パーツがなかったりと、より機械的な印象を受ける。


――『GOD EATER RESURRECTION』で追加されたプレデタースタイルのデザインはどのように作られたのでしょうか?
依田さん
プレデタースタイルの捕喰デザインは、伊藤さんに考えていただきました。捕喰アクションのバリエーションは当時すんなり出たものの、いざデザインするとなったときはあまり時間がなく、急ピッチでたくさんのデザインを検討していただいた覚えがあります。「狼が捕喰する」というアイディアをもとに伊藤さんにデザインをオーダーさせていただきましたが、裏面から見るとちゃんとフェンリルの顔になっているのには感動しました。さすが伊藤さんだなと思いましたね。

伊藤(通)さん
プレデタースタイルのデザインは最初に出したイメージ案がなかなか決まらず、方向性を固めるまでに苦戦した記憶があります。フェンリルの捕喰についてはそう言ってもらえると、少し照れますが嬉しいですね!

依田さん
先に発売されていた『GOD EATER 2』ではブラッドアーツやブラッドバレットなどが登場していたものの、作品としての時系列だと『GOD EATER RESURRECTION』が先になるので、アクションの新要素をどのように入れるかという点ではすごく悩みました。結果として、収まりのよい形にできたと思いますし、プレイヤーの皆さんに喜んでもらえたのはとても嬉しかったです。

プレデタースタイルの補喰の様子。


――続いて『GOD EATER 2』についてお伺いします。『GOD EATER 2』ではさまざまな種類の神機が新たに登場しましたが、どのような経緯で作ることになったのでしょうか?
依田さん
ブーストハンマーとチャージスピアについては、今まで切断や斬撃に特化した武器が多かったので、新しいバリエーションを増やそうというコンセプトが最初にありました。そして、せっかく新しく増やすのならギミックもこだわったものにしたいという話になり、変形する神機になりました。開発当初、実はブーストハンマーはもっと変形が複雑で、三段変形する仕様でした。結果的にわかりやすい構造になりましたが、当初はコンボルート通りにコンボを決めていくことで変形するという複雑な仕様を予定していました。

板倉さん
ブーストハンマーはとにかく立体物として大きいので、多面的なデザインを制作しないといけないのが、デザイン的になかなか大変なポイントでもあります。

  • ブーストハンマーのプレイ画像。

  • チャージスピアのプレイ画像。

依田さん
『GOD EATER 2 RAGE BURST』で追加したヴァリアントサイズは、開発初期の段階から鎌という方向性は決まっていたものの、アクションやギミックは決まるまでに時間がかかった神機です。神機自体が伸びるというのはこれが初めてだったので、どのような構造にするか開発メンバーで試行錯誤した覚えがあります。

ヴァリアントサイズのプレイ画像。

板倉さん
ちなみに『GOD EATER 2』の頃、ハンマーやスピアという武器種を追加しようという中で、当初は斧型の神機を追加するという話も上がっていました。このお話は初めてしますので、驚く方もいらっしゃるかもしれませんね。

斧型神機の設定資料。

依田さん
ほかにはショットガンも、ブーストハンマーやチャージスピアと同じように神機の特色を増やそうという意図があり追加した神機です。遠距離用の銃形態でありながらも、近距離であまり敵を狙わなくても遊べるような神機を作ってみようというコンセプトのもと制作しています。突進しながら射撃するというアクションも、そういったところから考えた要素です。ショットガンは割とすんなり仕様が決まった印象がありますね。なお、先ほど話題に挙がった斧以外に神機種別としてボツになったものはありませんが、デザインパターンに関しては、開発当初ものすごい量を作り検討していました。たしか一度に100種類ほどの神機のバリエーションをデザイナーさんに出していただいたと思います。

板倉さん
そのバリエーションは設定資料集に載っていますね。実装された神機の中には、その名残を残しているものもありますので、よかったら探してみてください。


――ユーザーから神機デザインを募集されたこともありましたが、そのときの神機の印象はいかがでしたか?
板倉さん
開発陣では思いつかないようなアイディアがとても多かったです。その中でも多くのプレイヤーの方に楽しんでもらえそうなデザインを選定させていただきました。

伊藤(通)さん
飴の神機というアイディアは開発陣の中でもなかなか思いつかないので、おもしろいと思いましたね。我々は世界観の方向性や枠に沿った形でデザインバリエーションを出すことが求められるので、そういったところから外れた、華やかさや広がりを感じられるようなデザインはこちらとしても気付きを得た部分がありました。

ユーザー考案オリジナル神機の装備画面。


――特に思い入れのある、または作るのに苦労した神機はありますか?
伊藤(通)さん
テーマから少し外れますが、実現させたかったけどできなかった神機として「地獄シリーズ」というものがあります。デザインを検討していくうちに地獄っぽいって何だろうという自問自答のループに陥ってしまい、うまくデザインに落とし込めず、結局「魔女っ子シリーズ」になりました。

板倉さん
「魔女っ子シリーズ」と伊藤さんが仰っているのは「ミラクルステッキ」のことです。このようなクリスタル感のある神機パーツがいくつかありますが、これはもともとアラガミ系と機械系の2系統があるとしたら、その上位に位置する最も特別な神機パーツとして考えた結果生まれたものです。ただ、最終的にはほかの神機パーツと同列で、ちょっと見た目が不思議なデザインとしてゲームに登場することになりました。ちょっと唐突なデザインになってしまいましたね……。

「魔女っ子シリーズ」という位置付けのミラクルステッキのデザインイメージ。

伊藤(通)さん
ソーマの神機は板倉さんからのリテイクも多く、完成するまでに苦労した印象が強いです。ただ、苦労した神機の一つではあるものの、振り返ってみるとあの神機こそ「GOD EATER」シリーズを象徴しているというか、あのデザインの中に世界観が詰まっていると感じます。自分の中で思っていた、あの世界における“リアリティ”を掴むことができたのがソーマの神機でした。

板倉さん
たしかにソーマの神機はリテイクが多かったですね……。当時はノコギリの刃の部分のデザインをどうするか、とても悩みました。最初に伊藤さんから提案いただいていたデザインラフは小さな刃が先端だけに付いている見た目でしたが「ああでもない、こうでもない」とやり取りをしつつ、現状のシルエットに近いラフを描いてお渡ししたことを覚えています。

ソーマの神機。

伊藤(通)さん
それ以外だと、アリサの神機はシンプルで無駄がなく、今見返してもかっこいいですね。制作もあまり時間をかけず、スパッと決めることができました。個人的に、いろいろ考えながら足したり引いたりして作ったデザインは最後までどこかしっくりこないことが多く、このアリサの神機はそういったことがなかったおかげで、とてもいいデザインにできたと思います。コンバットナイフにアサルトライフルという要素も、パッと見て「GOD EATER」シリーズの世界観における装備デザインの方向性が、わかりやすくドンピシャにはまっている気がします。

アリサの神機。

板倉さん
こうして振り返ってみるとクロガネ系統のような、シリーズとして見た目が統一された神機のデザインはもっとチャレンジしてみたかったですね。シリーズとして全部揃っているのは、やっぱりパーツを組み合わせたり強化したりするときにワクワクしますし、トータルで見たときにかっこいいと思います。あとはシオや『GOD EATER BURST』以降のリンドウやリンドウ【侵喰】のように、身体の一部から神機のような武器が生えているデザインはお気に入りです。それらの武器は彼らにしか使えない、プレイヤーでさえ装備できない唯一の神機なので、そのキャラクター性を意識したデザインにすることができました。

リンドウ【侵喰】の神機。


――ここからは『GOD EATER 3』についてお伺いします。新たに追加された神機のデザインはどのように決めていったのでしょうか?
鈴木さん
最初に『GOD EATER 3』で新しく追加する神機は3つくらいにしようという話があり、そこからトータルバランスというよりは一個一個考えていきました。今までの神機は片手持ちか両手で振り回す神機が多く、両手に1つずつ持つ二刀流という神機がなかったことから生まれたのがバイティングエッジです。

バイティングエッジ。

渥美さん
実はそれまでの「GOD EATER」シリーズを通してずっと、二刀流でプレイしたいという声が届いていました。満を持してイベントでお披露目した際にはお客さんの反応もかなり大きかったですね。

伊藤(迅)さん
開発初期の段階で(鈴木)一徹さんからデザインを発注された時点で、このバイティングエッジは強いニーズがあるジャンルだと思っていましたので、デザインもさほど迷いませんでした。シンプルにかっこよく、そしてショートブレードとは違ってより細長い短剣のようなシルエットになるように意識してデザインしました。

鈴木さん
ただし、普通の二刀流ではなく神機なので変形させる必要があり、どのような構造にするか、とても難航した記憶があります。開発中盤になっても薙刃形態ではどういう立ち回りをするかといった部分を検討しており、うまく落とし込むのに苦労しました。

渥美さん
薙刃形態になることは初期から決まっていたのですが、この薙刃形態をどういう場面でどう使ってもらうのか、という部分については開発終盤まで悩みに悩みましたね。

バイティングエッジのプレイ画像。

鈴木さん
次にヘヴィムーンですが、実は最初は構想に入っていない神機でした。というのも、当初構想していたのはパイルバンカーのような、腕に大きな武器を装着して派手で重い攻撃を喰らわせるタイプの神機でした。どちらかというとハンマーに近いイメージです。

伊藤(迅)さん
たしか、敵に攻撃が当たるとワイヤーアクションで敵をプレイヤー側に引き寄せるような仕様を想定していましたね。ロケットパンチを発射して、相手に当たったところにダイブするみたいなアクションもイメージしていました。

鈴木さん
ところが、このパイルバンカーはデザインを進めていく中で、うまい落としどころを見つけられませんでした。たとえば、うしろから見たときの見た目などもいい着地点が見つからず、仕方なく代わりとなる神機を作ろうかと悩んでいました。そんなとき、シオのイラストがふと目に入り、シオといえば月、月といえば丸い……といったような連想から生まれたのが、ヘヴィムーンでした。

伊藤(迅)さん
ある日、一徹さんから「新しい神機を思い付いた」と呼ばれて、そのときホワイトボードに描いてくれた神機のイメージが、すでに現在のヘヴィムーンに近い形でした。円形というのはその段階で決まっていて、デザインの落とし込みもすんなりとできました。ただし、これも変形させる必要があり、一徹さんと当時の企画メンバーと三人でどうしようかと頭を悩ませた結果、豪快な見た目かつその場で立ち止まって重い打撃を加える派手な武器がほしいというコンセプトがあったこともあり、斧月展開状態という案が出てきて決まりました。

ヘヴィムーンのプレイ画像。

鈴木さん
あとは、レイガンも紆余曲折を経てできた神機です。当初、レイガン以外に、プレイヤーの目の前に大きな固定砲台を設置して巨大な一撃を喰らわせるというキャノン(固定砲台)のアイディアもありました。しかし開発を進めていく中で、ハイスピードハンティングアクションというゲームジャンルには向かないのではと没になりました。

伊藤(迅)さん
神機を設置して戦うというスタイルはこれまでの「GOD EATER」シリーズにはなかったので、キャノンではどういった戦い方が可能となるのか、ずっと議論していましたね。

鈴木さん
銃身はバレットも大きく関わる要素ですので、そことの連動性も考えた結果、レイガンを実装することになりました。ブラストとは趣旨の異なる神機ではあるものの、オラクルリザーブが可能で、バレットをアレンジすることでブラストと似たような使い方もできることから、ブラストの上位互換という位置付けになりました。

レイガンのプレイ画像。


――アメミト系統の神機はどのように生まれたのでしょうか?
伊藤(迅)さん
イリーガル感とあの世界における物質の不足感を出すために、寄せ集めたもので神機が構成されているというオーダーが最初にありました。そこで、いかにガラクタ感を詰め込みつつ神機らしさを出すかという点について、たくさんの議論とすり合わせを行いました。そうした中で、既存の神機を一旦破壊してそれを修繕したようなデザインや、万力のようなもので刃を固定した急ごしらえ感を出したデザインなどいろいろな方向性を検討し、破損した鉄から神機らしい肉の部分が出ているという、2種類の材質を組み合わせたデザインがおもしろいと感じたことから方向性が固まりました。また、『GOD EATER 3』は過去作と異なり、神機が何で作られているのかといった細かい材質まで分かるようなグラフィックなので、そういった点でもディテールの細かいデザインがマッチすると思いました。


――仲間キャラクターの神機はどのように作っていったのでしょうか?
渥美さん
ユウゴなどAGEに関しては、主人公と同じくできるだけ寄せ集め感のある神機のデザインになるようパーツの選定を行いました。逆にクレアやリカルドは、従来のデザインを踏襲しつつ、一揃いになった神機になるようにパーツデザインを決めていきました。

ユウゴイラスト。

鈴木さん
仲間キャラクターの神機に関しては、まず各自の戦闘傾向を考え、そのスタイルに合うような神機を当てはめていくという作り方をしています。たとえば、フィムはがむしゃらに突進していくタイプのキャラクターなので、ハンマーやヘヴィムーンのようなパワーファイト系の神機を選んでいます。そんな風に、一旦戦闘におけるキャラクター性と神機の種別を決めて、そこから具体的にパーツをどれにするか、渥美さんと検討していきました。


――神機の名称はどのように決めたのでしょうか?
渥美さん
アメミトについては、プレイヤーの方々が最初に手にする神機なので少し特徴のある名称にしたかったのと、一見和風な語感を持ちつつ、『GOD EATER 3』の世界観を感じられるような名前にしようと考えていました。世界観設定として、『GOD EATER 3』のAGEたちは既存のゴッドイーターよりもアラガミにより近い存在で、神機も寄せ集め感が強いということもあり、異なる種が混じった存在である「キメラ」のような意味合いでいいワードがないか探していたところ、「アメミト(アメミット)」という単語がヒットしたので名付けました。

鈴木さん
AGEが使う神機に仰々しい名前は合わないだろうと考えており、それこそ「壊れ物」みたいな直球の名前の方が世界観にマッチすると思っていたので、アメミトと提示されたときはあまりにぴったりで驚きましたね。仲間キャラクターの神機の名付けはすべて渥美さんが担当していますが、あの発想は手放しにすごいと思います。ジークのバーバボンドなんかは初めて聞いたとき驚愕しました(笑)。

渥美さん
ジークに関してはアメリカ系の血筋を想定していたので、そのガラの悪さも相まって俗語のbubba(兄弟)を引っ張ってきた覚えがあります。「GOD EATER」シリーズ全体を通して、仲間キャラクターの装備名称は「そのキャラクターが持つ印象」「バックグラウンド」「表面には見せない秘めたる想い」「象徴的なシーン」という要素を中心に考えていますね。『GOD EATER 3』のAGEは明日も命があるかわからないような、極めて厳しい環境下で生きているキャラクターたちだったので、儚いイメージを入れ込むようにしました。たとえば、ユウゴは“カゲロウ”、ジークは“花火”、ルルは“蛍”といった感じです。また、これまでのシリーズでも皮肉めいた名前を付けてきましたが、ルルの秋ノ扇が『GOD EATER 3』では一番皮肉が利いているかもしれません。

  • ジークの戦闘画面。

  • ルルの戦闘画面。


――アラガミ系統の神機はどのようにデザインを決めていきましたか?
伊藤(迅)さん
いくつかパターンがあり、まず一つは、そのアラガミのアクセントになるポイントを取り入れる方法です。たとえばラーの場合、天球など印象的なパーツがいろいろあるので、各パーツを神機の種別ごとに違う方向性で組み込んでデザインしていきました。また、くちばしのようなパーツを共通して入れることで、アラガミっぽさを出すという方法もあります。ほかには、ストレートにシルエットを重視して作るパターンもありますね。たとえば、ハバキリにはブレードというとても目立つパーツがあるので、そのままかっこよくしてユーザーの皆さんに届けようという考えから、ブレード部分を違う素材にしたりはせずデザインとして組み込みました。


――思い入れのある、または作るのに苦労した神機について教えてください。
鈴木さん
バルムンク系統の神機はデザインの描き込みが多く、パーツも多いという点でお気に入りの神機の一つです。バルムンク自体も描き込みの多いアラガミなので、あれを神機にかっこよく落とし込んでくれたデザイナーには本当に感謝しています。

伊藤(迅)さん
ラー系統の神機はリテイクが多くて、とても苦労しました。ラー自体が全体的にかっこいいデザインなので、どのパーツをどのようにかっこよくして神機に落とし込むかという部分が難しかったですね。『GOD EATER 3』で新たに追加された神機にはすべて入っている系統ということもあり、なおさら大変だった思いがあります。神機のデザインの中でも初期の段階で着手したのがラー系統でしたので、方向性を決めるという意味合いも含めてとても苦労しました。

渥美さん
個人的に好きなのはヌァザ系統のロングブレードですね。あとは先ほども話題に挙がった、バルムンク系統の神機もかっこよくて気に入っています。

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