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「GOD EATER ONLINE」が帰ってくる!
ストーリーノベル 第二章

「GOD EATER ONLINE」 STORY NOVEL ~2章-1話~

 広場に集まる俺たち第一部隊の前に、報告書を携えたカリーナが姿を現す。
 カリーナは疲れの見える、暗い表情を浮かべていた。
 いいニュースは期待できない雰囲気だったが、それでも俺たちはカリーナからの報告を待った。
「ポルトロン支部長に関する調査報告です」
 大きく息を吐きだしてから、カリーナは静かに話しはじめた。
「……支部長は昨日の巨大なアラガミ反応が出たとの報を受けた直後に、ヘリで本ヒマラヤ支部を去ったようです」
「……!」
「行き先は不明。本部および各支部に問い合わせてみましたが、返答なしです」
 アラガミ出現の報告を受けた直後に、支部を去ってそのまま行方知れず……
 それがどういうことを意味するのか。考えられる可能性は、そう多くはないだろう。
「失踪ってわけか」
「ヒマラヤ支部から勝手に逃げ出した、が正しいわ」
 リュウもレイラも、同じ結論に辿り着いていたらしい。
 ポルトロンは逃げ出した。
 自分の安全を優先し、危険な状態のヒマラヤ支部を放棄したのだ。
 彼とはほとんど関わりを持っていなかった俺でも、容易にそのことが想像できた。
(最悪だな……)
 心の中で毒づく。
 ポルトロンが支部の全員を見捨て逃げ出したのだとすれば、許されることではない。
 だが、最悪なのはそのことではない。
 報告によると、ポルトロンはアラガミ出現『直後』に脱出したという。
 それだとおかしい。あまりに早過ぎるのだ。
 支部は外より安全だ。保身の術に長けたポルトロンが、簡単に手放するとは思えない。
 恐らく、ポルトロンには以前から確信があったのだ。支部に危険が迫る確信が……
 だからポルトロンは逃げ出した。
 身の安全を第一とするあの男が、ヒマラヤ支部を放棄するしかないと判断したのだ。
「…………」
「『 勝手に』逃げ出した、であればいいがな」
 レイラの言葉を受けて、ゴドーはそう返した。
 すでにポルトロンが逃げた原因を、把握しているような口ぶりだ。
「どういう意味です?」
 胡乱げな視線を送るレイラに対し、ゴドーはもったいぶるようにして笑う。
「こういう意味だ」

 サングラスの位置を直し、咳払いする。
 それから俺たちを見据えて、静かに口を開く。
「今現在より、『勝手に』支部長代理となるゴドー・ヴァレンタインです。どうぞよろしく」
「はあ!?」
 隣でレイラが素っ頓狂な声を上げる。
 レイラが声を発していなければ、俺がそうしていたかもしれない。
「……勝手に支部長代理、というのは?」
「本部に問い合わせても支部長不在に対する指示がないんです。ですが今のままでは命令系統が無いのと同じですから」
 一人、冷静なリュウの問いかけに、カリーナがすらすらと答えた。
 すでに何度も検討を重ね、それしかないという結論に至ったのだろう。
 カリーナはやや不安げに、ゴドーは面倒くさそうに見える。
「そういうわけで、不本意だが、俺が支部長代理をやるしかないってことになった」
 本当に不本意なのだろう、嫌々という雰囲気を隠そうともしない。
「やりたい者がいたら、いつでも交代してやるがな?」
 ゴドーが冗談とも本気とも取れる言葉を付け加え、何故かこちらに視線を寄越した。
 俺に手を上げろとでも言いたげだ。
「嫌です」
「ですよねー……」
 間を置かずに答えると、カリーナが苦笑を浮かべる。
 俺は戦う以外に能のない男だ。冗談でも、人の上に立つ器があるとは考えられない。
「ま、仕方のないことだ」
 あっさりと言うゴドーは、彼なりに今の状況を受け入れているのかもしれない。
 案外殊勝なところがある……そう感心したのも束の間のこと。
「ただ、俺が支部長代理となると、第一部隊の隊長は兼任できない」
 ゴドーはそう言って、再び俺に向き直っていた。
 そうしてそのまま、唇の端を吊り上げて笑う。
「隊長代理として俺の後任を務めるのは……君だ」
「なっ……!?」
(俺が、隊長代理だと……?)
 突然の指名に思考が追いつかず、俺はその場でフリーズする。
 周囲を見渡せば、リュウも呆気にとられた様子でこちらを見ていた。
 一方、レイラは烈火のような勢いで、ゴドーに向かい食って掛かる。
「ゴドー! 経験の浅い新人をリーダーにするっていうの!?」
「俺が考える隊長の条件は『強さ』だ。それ以外には無い」
 レイラの追及も、ゴドーはどこ吹く風という様子だ。

「指揮能力とかではないんですか?」
 俺より早く気を持ち直したリュウが、レイラに続いてゴドーに詰め寄る。
「強さだって、ゴドーは新人の彼が一番だと?」
 ますます熱を帯びた様子のレイラも、噛みつくように前に出た。
「普通のアラガミとの戦闘だけであれば、リュウやレイラのほうが上かもしれん」
 ヒートアップする二人の熱に、ゴドーは物怖じもせず平然と答える。
「だが、気配を消す白毛のアラガミを二度追い払い、俺には反応しなかったデカブツが反応した実績もある」
 ゴドーは淡々と、ただ事実だけを並べていった。
「あの厄介な二体が現れた時、対処できるのは誰か? それも含めて、意見があれば言ってくれ」
「う……」
 レイラが言葉に詰まり、短く呻いた。
 反論の言葉が出てこない様子で、そのまま一歩引き下がる。
「……ゴドー隊長の判断が正しいと、理解しました」
 一方のリュウは、戸惑いながらも一応納得のポーズを見せた。
 それを見たレイラも、大きくため息をついてから姿勢を正す。
「納得はしていませんが、後任を決めるのはゴドーです。決定には従いましょう」
「と、いう訳だ。頼むぞ」
 ゴドーはそう言って、俺の肩をポンと叩いた。
 しかし、それで俺が納得できる訳でもない。
「支部長代理。少し考える時間を……」
「悪いが、すでに隊長代理の初仕事は決まっているんだ。やりながら考えてくれ」
 ゴドーは俺の発言を遮った。反論の余地はなさそうだ。
「……了解です」
 このヒマラヤ支部が危機的状況なのは重々承知だ。
 俺一人のわがままで、指揮系統を乱す訳にもいかない。
 隊長が向いているとは思えないが、任された以上はやるしかないのだろう。
 そう考えて前を向くと、ゴドーが唇の端を歪めたのが見えた。
(俺の反応まで織り込み済みか……まったく、いい性格をしている)
 ポルトロンも食えない男に見えたが、ゴドー相手では比較にもならない。
 しかし、不思議と恨む気持ちになれないことが、新たな支部長の最も厄介なところかもしれない。


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