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「GOD EATER 3」キャラクターノベル 第四章 ジーク編「紡がれる絆」


「GOD EATER 3」キャラクターノベル ジーク編「紡がれる絆」 ~4章-8話~
 長い記憶を振り返って、オレはニールとキースと並んだまま、小さく息をつく。
「あの頃は本当に、情けない兄貴だったよな……不安にさせてばっかで、悪かった」
「まーね。当時から無理してるのがバレバレだったし」
「それに、今も情けない兄貴だからな。何を今更って話だ」
「なっ、お前らなあ!」
 意地の悪い弟たちが小さく笑う。
「……あのさ、ずっと黙ってたんだけど……ソール兄ちゃんと、リース兄ちゃんが死んだ時のこと、俺、独自に調べてみたんだ。あの時、二人が腕輪無しで神機を扱えたことがずっと引っかかってて」
 確かに、今考えてもあの時の状況は異常だった。
「あの時の灰域踏破船は、実験船でもあったみたいでね。当時はAGEの開発技術もまだ未発達で……被験者の脊髄に、直接調整したオラクル細胞を投与することで、短時間だけ神機への適正と、灰域への耐性。そして、安定性を無視した爆発的なオラクルの活性 を得られる研究をしていたらしいんだ」
 また、オレたちの間に沈黙が流れた。
「多分兄ちゃんたちは、あの船の制圧に成功していた。けど、アラガミの群れから俺たちを助けるために……船の乗組員たちに協力してもらって、ゴッドイーターになったんだ。だけど……無茶な適合試験のせいで、駆けつけて来てくれた時にはもう……」
 膝を抱えて黙り込むキースの背中を、オレは叩いた。
 そういうことなら、あの時。船に乗ってたゴッドイーターがオレたちを助けてくれたのも頷ける。
 あの状況でも尚、兄ちゃんたちはオレたちを救うための繋がりを残してくれたんだ。
「……ありがとな、キース。調べてくれて」
「兄貴たちは、命懸けで大切なものを守る覚悟を俺たちに示してくれた。いつ思い出しても辛い記憶だが……あの最期の姿を見ていたから、俺たちは今日まで戦い続けてこれたような気がする」
 ニールの言葉に、オレもキースも頷いた。
 家族を守るってことが、どういうことなのか。オレたちは、あの姿に学んだから。
「結局、兄貴たちの意志が、こうして俺たちを再び引き合わせた。そう考えると……本当に、いつまで経っても兄貴たちには敵わないと思うよ」
 オレたちを導き続けてくれた、兄ちゃんたちの光。
 ニールの胸にも、キースの胸にも、同じものがまだ輝いているみたいだ。
「何だよニール、珍しくお喋りだな」
「っ……うるさい。そういう気分の日もあるだろ」
 その時。隠れていた廃墟の壁をディアウス・ピターがぶち破った。
「うわぁぁ!? 見つかったぁぁ!?」
「ニール、お前がらしくないこと言うからだぞ!」
「なっ、何で俺のせいなんだバカ兄貴!」
 神機を手に、兄弟三人並んで立ち上がる。
 その時――
「はあああああっ!」
 突然流星のように飛び込んできたルカが、ディアウス・ピターをぶっ飛ばした。
「ルカ!? それにユウゴ……みんなも!?」
「よう、お前ら。三人とも無事だな!」
「限界灰域で連絡が取れなくなったと聞いた時は、肝を冷やしたぞ」
「怪我はありませんか! 治療が必要ならこっちに!」
 ユウゴ、ルル、クレア。
 みんな、救助に来てくれたらしい。
「三人とも、戦える?」
 舞い降りたルカが、微笑みながらこっちに手を差し出す。
 視線の先に集まった仲間たちが、頼もしくこっちを見つめていた。
「……へっ、当たり前だぜ!」
 オレは最高の弟たち二人と目配せして、最高の仲間の手を握り締める。
 群がってくる灰域種たちを前に、オレたちは神機を振りかざして飛び込んだ。
「ハウンド全員集合だな! っしゃあ、オレたちが最強だってこと、教えてやろうぜ!」
 この絶望の向こうまで。オレたちの夢は、どこまでも繋がっていく。



著  翡翠ヒスイ(株式会社テイルポット)
原案 吉村 広(株式会社バンダイナムコスタジオ)

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