2015年7月26日

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アニメ関連情報  富澤祐介

TVアニメ第3話、今夜より放送開始!

 

皆さんこんにちは、富澤です。

GEフェス以来、ブログが久しぶりになってしまいました。

 

 

7月より遂にGEのTVアニメがスタートしました。

現在2話まで放送が進み、今晩からいよいよ3話の放送が

開始されますが、皆様もうご覧いただいていますでしょうか?

スタッフ一同もゲーム開発の合間に放送を楽しみにしているのですが、

放送開始以降、その映像表現、ストーリー、キャラクターなどに関して

視聴者の皆様の間でも様々なご意見が交わされているのを拝見しています。

確かに本作ではそれらに対してかつてないチャレンジを幾つも行っています。

いよいよ今夜に迫った第3話の放送開始に先駆け、今日は富澤的な

視点でそれらを改めて紹介してみたいと思います。

 

 

 

■映像表現:

 

本作では、「荒廃しつつも同時に美しくもある世界と、そこにいる

キャラクター達をクリアな空気感の中で美しく表現する」ことを目指し、

これまでにない陰影表現や彩色方法が導入されています。

 

OP_048

01_238

OP_038

 

 

これらのカットに代表されるように、各カットには明確な光源が設定され、

キャラクターはその光を受ける量や箇所が計算され、多重の影を作っています。

通常のアニメーションでは一般的となっている「肌は一色、影で一色」

といった表現のセオリーを覆し、実存感とクリア感を際立たせる

ことを目指しています。キャラと神機についてはこれを全て手描きで作画しており、

通常のアニメの作画より何倍も作画量が多く難易度も高い作業が行われています。

 

 

この手法を見て「まるで厚塗りイラストみたい」という感想を戴くこともあります。

 

OP_028

 

たとえばこのカットなどは、完全に一枚絵のようにも見えるくらい、

引きのキャラでも細かなパーツ単位で逆光と陰がコントロールされています。通常なら

光のエフェクトを後で追加して逆光処理をするところを、このようにキャラクター

自身への作画でその効果を出しているため、背景やキャラをエフェクトで滲ませる

ことなくクリアな画面のままで光を表現でき、結果それらが光源ではなく色で

表現されたイラストのような印象を産み出しているのだと思います。

そんな処理をされたものが普通のアニメのように動くわけです。驚愕です。

 

 

 

一方で「まるで3Dみたい」という全く逆のようなご感想をいただくこともあります。

 

01_137

01_322

 

多重の陰影が3DCGのトゥーンシェードを想起させるところからと思いますが、

ここにも一つの狙いが隠されていて、神機使いと度々対峙する「アラガミ」、

彼らは3DCGで作画されています。これら「アラガミ」の質感との親和性も

維持しつつ、更に絶妙な色ムラで絵画的な質感も持たせ、そしてその動きは

2Dの手描きのそれである、というこれまで見たことの無い形で2Dと3Dが

共存したアニメーション画面が出来上がっています。

 

そんな風に考えると、一見真逆ななようなコメントですが、いずれも、

この世界を美しく統一感のあるものにしようという複数の狙いに対しての

それぞれ正しい反応なのだと思います。

 

このように、見る人によって語られ方も様々な、誰も見たことの無い、

まだ名づけられてもいない作画手法が、ゴッドイーターに取り入れられています。

作画チームは想像を絶する労力を注ぎ込んで、この新たなビジュアルを

創り出そうと奮闘を続けています。

この画作りは、アフターエフェクトや3DCG全盛の時代における、

2Dアニメーション表現からの果敢な挑戦だと感じています。

それらすべてを得意とするufotableさん自身だからこそ、

更にその先へと表現のチャレンジができるのかもしれません。

そしてきっと、話数が進む程に、この手法も更に洗練・進化して

いくのではないか、という期待も抱かせてくれます。

 

この荒廃した世界の光と陰の狭間で、キャラクター達が時に光り輝き、

時に闇の中で一筋の光を探しながら戦い続ける姿を、

どんなビジュアルで魅せてくれるのか、僕自身も心から楽しみにしています。

 

 

 

■ストーリー:

 

平尾監督の目指す、そうしたある種の緊張感のある画作りの中で、

初代GEをベースにした重厚なストーリーが紡がれていくわけですが、

今回のアニメ化に際して、オリジナル主人公である空木レンカ、

そして第一部隊始めお馴染みのキャラクター達、それぞれのぶつかり

合いによる「変化、成長」を描くことを一つの目標に見据えています。
episode2_photo02

 

ゲームでは皆さん自身がゲームプレイの中で失敗や挫折を

繰り返しながらも学習・成長し、立派な隊長として認められた

「体験」があったように、アニメーションとして描くゴッドイーターでは、

その努力や挫折も、「ドラマ」の一部として描こうとしています。

勿論それらをすっ飛ばして華麗な活躍や賞賛だけを描く方法もあるでしょうが、

アニメゴッドイーターの世界にはそうした現実も含めた上で、

その先のキャラクターの変化や成長を追うように描いていきたいと

思っています。

 

そういう意味では、1話2話ではまだまだ頼りなさそうに見える

空木レンカ君が、他のキャラクター達とのぶつかり合いの中で、

どのように学び、成長を遂げるか、是非今後の展開に期待して

いただきたいと思います。同時に、レンカと出会うことで第一部隊の

面々もどのような変化を見せるのか、というところにも注目してみてください。

 

そうした「成長のドラマ」を明確にするために、キャラクター達の台詞や

行動も、原作から少し変化させているものもあったりします。

レンカという個性とぶつかり、結果どのように彼を認め、チームと

なっていくのか、これまでにない新たなキャラ同士の一面や展開を

楽しんでもらえればと思います。

 

次回第3話ではいよいよアリサが本格参戦し、新型同士の出会いが

早速ド派手な火花を散らしますよ!

 

 

■音楽:

 

本作では原作ゲームでもおなじみの椎名豪が平尾監督とのタッグで

劇伴を担当させてもらっています。原作のフレーズもふんだんに

盛り込みつつも、物語の展開やキャラクターの心情を支えるために

非常に厳密で繊細な音作りの作業を毎回行っています。

更に、今回は「GHOST ORACLE DRIVE」という名の、

本作のために結成されたオリジナルバンドによる歌曲もシーンを

多彩に盛り上げていきます。

 

そうした多彩な才能が響き合い、また迫力のバトルシーンを

演出する音響効果も含め、劇場のような本格的な環境にも堪えうる

音を目指して広域な音響収録を毎話おこなっているのですが、

その中で1点皆様にお詫びしなければならないことがあります。

本作の音域のレンジの広さが影響し、テレビ放送の「ラウドネス」

という音響規定にはまりきらず、結果として1,2話では総音量を

下げて放送することとなり、これについては多くの方から

ご不満の声をいただきました。

 

そこで3話では、オリジナル音響の迫力とセリフの聞きやすさを

両立させた、テレビ放送に最適化した音響バランスのマスター音源を

別途制作させていただきました。

 

 

 

 

 

…以上、3話の放送に向けて富澤なりの本作のこだわりポイントをご紹介しました。

 

作品に求めるものや評価は、あくまで視聴者の皆さん個人個人が感じたことが正解です。

ですが、日々全精力で本作に取り組み続けているクリエイター達の思いも含め、

本作が持つ狙いを知っていただくと、更に楽しみかたが拡がるのでは、

ということで僭越ながらご紹介してみました。

 

 

いよいよ今晩22:30~のMXテレビを皮切りに、

注目の第3話が順次放映開始となります。

これまでの話数以上に、とんでもない労力と魅力が詰まった、

序盤のハイライト回と呼んでいいものになっています。

 

 

一人でも多くの皆さんにご注目いただければと思いまして、

出来たばかりの先行カットを公開します!

是非twitterなどで拡散してみてくださいね。

 

 

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何せ1話丸々、ずっと空中戦なのですが、

アリサとレンカ、極限状態での二人の「新型」の出会いが、

怒涛のアクションの中で描かれていきます。

新型の面目躍如たるアリサの姿を目の当たりにして、

いよいよ自身も新型の力に目覚め始めるレンカ。

二人の出会いは、この後の物語を大きく動かしていきます。

 

それでは、今夜から始まる第3話の放送に、是非ご期待ください!!